「短歌道」という名前の携帯サイトがあります。
サイト開設直後に、
「枡野浩一さんに総合プロデュースをお願いしたい」
といった内容のご連絡をいただき、
会社の方々に会いに行きました。
とても感じのいい方々でした。
「大変な仕事になると思うので少し考えさせてください」
とお返事し、
結局それほど時間をおかずに、
「私でよろしければ頑張ってみたい」
旨をご連絡しました。
しかし、
それからしばらくして、
私はその仕事を完全におりることになりました。
*
私に相談もなく、
そのサイトで短歌コンテストの企画が進んでおり、
また、
当初は別の名前だったサイト名も
知らないうちに「短歌道」と改称されていて、
それらが事後報告的にメールで伝えられてきたからです。
短歌コンテストの選考委員も二名、
私の知らないうちに決まっていました。
どちらも少しだけ面識のある、
活躍する若手歌人だったのですが、
私はサイト全体の監修を引き受けたつもりだったので、
やはり事前にご相談いただきたかったと思いました。
その旨を伝えて、仕事をおりました。
「選考委員は、
枡野浩一さんに断わられた場合の、
保険として頼んでしまっていた」
という文意の、
返信がありました。
「枡野さんも、
コンテストの選考委員は
色々な歌人にお願いしたほうがいいと
おっしゃっていたし」
みたいな文意の弁明もありました。
(文面はすべて要約です)
メールのやりとりは数回でしたが、
私の短くない文筆活動の中で、
ここまで杜撰なやりとりは初めてでした。
悪意があるわけでは全然ないのでしょうが。
短歌のサイト運営には細かな神経をつかいます。
小さなことの積み重ねが大切だと考えています。
*
引き受けなかった仕事の話なので、
いちいち表明しないつもりでしたが、
そのサイトが現在もまだ続いており、
比較的若い歌人たちが選考委員を
引き受けているようです。
私とのあれこれに関係なく、
皆さんがご自身で判断していくべきと考えますが、
枡野浩一がそういう経緯で仕事を受けなかったことは、
やはり表明しておくべきかもしれないと
思う出来事があったので書いておきます。
【追記】
上の文章を発表したあと、
「短歌道」を運営している会社の代表の方から、
丁寧なメールをいただきました。
上の文章にも書きましたけれども、
会社の皆さんは《とても感じのいい方々でした》し、
そもそも《悪意があるわけでは全然ないのでしょう》。
著作やウェブ活動を見ていただければわかるように、
枡野浩一はまあ、こういう歌人なので、
ここを見ている皆さんもそれをふまえて、
「短歌道」や「枡野浩一」それぞれに
接していただけたらと思います。
両者それぞれに道がありますよう……。