期間限定公開なので今見てください。
http://blogs.yahoo.co.jp/marumaru1964kikei/folder/625928.html
これ、
サイトをもっと見やすく作れたらいいのに。
*
写真家の丸田祥三さんの裁判。
http://blogs.yahoo.co.jp/marumaru1964kikei/folder/557842.html
時間の都合で前半だけ傍聴したのだけれど、
とにかく写真家としての丸田さんに好感を持った。
自分の作品をつくるときに、
なにを考えているか?
どういう苦労をしたか?
などの話が本当に面白かった。
丸田さん側の弁護団が
とても上手に要点を指差し、
丸田さんがそれについて
詳しく話すんだけど、
毎度話し過ぎて「もっと短く!」
みたいな指示を(味方側からも)されていた。
それも良かったと思う。
話しても話しても話し足りない、
という気持ちが伝わってきた。
対して被告側の写真家は、
ずっと目をつぶっていた。
たまに目をあけると天井見たりしてた。
被告側の弁護団が、
丸田さんの揚げ足をとろうと質問するが、
丸田さんはいつもその質問以上の
意外な答えを熱く話してしまうので、
「丸田さんは嘘をついてない」
「丸田さん……凄い表現者なんでは!?」
という印象を残す結果に終わる。
被告側は、
「丸田さんの写真はモノクロ、
こっちはカラーだから似てない」
と主張したいみたいだった。
でも丸田さんはカラーでも撮ってる。
そして初期作品にモノクロが多い理由も、
なんと、
「そのほうが長期保存がきくから」
というものだったのだ!
「信頼している人が色盲で、
それで色に頼らない、
というふうに決めたところもあるが」
などと、
自分にとって不利になりそうなことも平気で言う。
「でも印刷のときダブルトーンで再現してるから、
自作をモノクロであると言われると違和感がある。
かつてはカラーかモノクロか、
みたいな極端な言い方しか写真雑誌もしなかったが、
現在ではもう少し曖昧な表現を尊重するようになっている」
みたいな話も興味深かった。
裁判で勝つために言ってるというより、
表現者としての自分の感覚に忠実に
言ってる感じが強くて、
なにを質問されても、ぶれない。
廃墟への思いは異常なくらい熱く、
丸田さんが語る姿は、
そう、
昔の人気テレビ番組「カルトQ」を
見ているときの楽しさに近かった。
みんな傍聴するといいですよ、
単に面白いから!
*
被告側の弁明をきかずに帰ってしまったため、
向こうの主張は正確にはわからないが、
丸田さんのお話によると真っ当な反論が出ず、
「記憶にない」
「弟子がやった」
「弟子の名前も忘れた」
の一点張り(三点張り?)だったそうだ。
この裁判、
法的に丸田さんが勝てるかどうかは
微妙だと私は思ってる。
「同じ場所の写真を
自分以外の人に撮るなと言ってるのではなく、
構図が似るにしても、ここまで似るのは……。
程度問題だと思う」
というのが丸田さんの主張。
残念ながら、その「程度問題」、
法律の場にはそぐわない問題だと
判断されてしまう可能性はあるんじゃないか。
作り手の良心の問題だから……。
丸田さんが独自に取材して書いた
写真のキャプションの「誤記」が、
被告側の写真集でも
ほぼそのまま(同じ「誤記」を含む表記で)載ってる!
http://haikyo.kesagiri.net/
といったところが、
今後どう評価されるか……。
でも、
もともと、
「丸田さんが被告の写真をパクったのではなく、
その逆だったのだ」
ということを特に世間に伝えたくて
始めた裁判だったそうなので、
その目的は達せられるんじゃないかな。
(被告のほうがキャリアがあるので、
どうしても年少の丸田さんのほうがあとから
真似たと誤解され、非難されるらしい。
その結果、失った仕事もあるとか。
しかし被告は廃墟への思い入れ、
ほとんどないんじゃないか……あの調子だと)
丸田さんの裁判トーク、
単純に色んな面で面白いから、
トークイベントとか動画配信のトークライブとか
やるといいと思う。
裁判に差し支えない範囲で。
微力ながらお手伝いできたらと思っています。
*
丸田さんは、
子供のころから廃墟を訪ね歩いていたそうだ。
しかも廃墟は何十カ所も行ってみて、
写真に撮れる場所が一カ所あれば……という感じらしい。
地元の人に聞いても、場所がわからなかったり、
そもそも「廃墟」として残ってるかが不明だったり。
インターネットが普及する前だったから、
文献と足で探すしかなかった。
最初の写真展をひらいたあと、
素人を名のる知らない人から
廃墟の場所を問い合わせる電話がかかってきて、
つい丁寧におしえてあげてしまったとのこと。
今振り返ると、
素人にしては、
やけに写真について詳しい人だったと……。
そういう、
「証拠」の残ってない出来事が多くて、
気の毒に思っています。
*
向こうの弁護団が、
「なんで今ごろ訴えてきたんですか?
(被告側のパクりの)写真集が出たのはかなり前なのに」
みたいなことをいやみな口調で言ったとき、
丸田さんがしばらく絶句して、
「くやしくて……とてもショックで、
すぐには言えなかった。
(被告写真集の)版元には手紙を出しました」
と言ったのも印象的でした。
向こうの弁護団は、
「すぐに訴えず、
今ごろ訴えたのには、
政治的な理由がある」
とでも考えていたのかもしれない。
ひとえに、
丸田さんが我慢強かっただけでしょう。
正々堂々と自分の仕事を続ければ、
本物がどちらなのかは世間にも伝わるはず、
と丸田さんは信じて耐えていたのです。
でも、そうはならなかったから、
法律の場に出るしかなかった……。
とにかく、
被告側の弁護団(女性ふたり)は、
人間的な感情に関して鈍感!
という印象を受けました。
丸田さんの写真集が何部くらい売れたかを
丸田さんに延々質問したあと、
「丸田さんは賞もとってるし、
写真集も売れてるし、
(作風の追随者がいたからといって)
なんの問題があるんですか?」
とキツい口調で言ったのには驚きました。
*
以上の記事は、
私の記憶を頼りに書きました。
セリフなどは「大意」であり、
実際のものとは多少ズレがあると思います。
ご了解を。
丸田祥三さんのツイッターは、ここ。
http://twitter.com/malta_shozo
【追記】
動画もご参照ください。
http://www.youtube.com/user/masunomasuno
切通理作さんによる論考です。
「丸田祥三氏『棄景』剽窃被害について思う」1〜4
http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20100326
http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20100328
http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20100414
http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20100422
切通さんと私は古くから交流があり、
丸田さんと私が知り合ったのはごく最近です。
切通さんは丸田さんが裁判を起こした当初、
旧友であるはずの丸田さんの裁判を
必ずしも支持していなかった、
という印象でした。
(私は丸田さんとはまったく交流がなかったので、
切通さん側の感想しか伺っていませんでした)
そんな切通さんの意識を変えるほどのことが、
訴訟後に起こったのです。