こんなことがありました。
http://metos.co.jp/products/kamin/post-10.html
昔こんなこともありました。
http://masuno-tanka.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-6a16.html
こんなことも。
http://masuno-tanka.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_c21a.html
こんなことも以前書いた。
http://masuno-tanka.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_5d96.html
*
松木秀くんの歌集『RERA』問題。
http://blog.rikkasyorin.com/article/37415740.html
http://www.sweetswan.com/kirin/k/
うーん……。
「短歌化」というのは、
枡野浩一が
『君の鳥は歌を歌える』(マガジンハウス/角川文庫)で
最初に試みたものだと、
はてなキーワードには書いてあります。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%BB%B2%CE%B2%BD
この「事件」は、
村上きわみさんはもちろんのこと、
版元にとっても気の毒というか……。
結果、私の手元には今、二種類の『RERA』がある。
二冊とも贈っていただいたもの。
その手間とお金……、気が遠くなります。
松木くんも悪意がまったくないから、
そのつど「短歌化」作品を
元ネタの書き手(村上きわみさん)にも見せてたんだろう。
私と松木くんはツイッターで相互フォローしてるが、
私がなにか短歌を詠むと、
彼がそれに触発されたと思われる短歌を
すぐに詠む、
というようなことがよくある。
まあ、それはいい。
しかし、
だれかの「つぶやき」を
そのまま短歌化して、
その元のつぶやきを明記しない、
みたいなことを彼は時々やるのだ。
それは、まずい。
私も短歌化は時々やるけど、
必ず元ネタがわかるようにしてます。
また、【短歌化】と明記します。
私は彼に、
こんなふうに言ったこともある。
http://twitter.com/toiimasunomo/status/7454298189
野田くんのつぶやき
http://twitter.com/nodash/status/7452324597
をそのまま短歌にしたものを
松木くんが発表しているのを見たからです。
今調べたら消えていたけど。
どうして迂闊にも、
ここまで「そのまんま」の短歌化作品を、
歌集に収録しちゃうかなあ…………。
自分でも忘れていたのか?
ひとつ、
こういうことが発覚すると、
ほかにもあるんじゃないかと思って、
警戒してしまう。
『RERA』のあとがきには、
影響を受けた歌人として
枡野浩一の名前も出てくる。
影響受けるなら、
元ネタを明記するような態度も
真似て欲しかったなあ。
でも私だって、
自分の書く言葉に前例が一切ないなんて、
思えないです。
人が面白いと思う言葉なんて、皆、似ている。
結婚に関する格言を集めた本を出したことあるけど、
意味の似通った言葉ばかりだった。
だれが本当の作者かわからない「同案複数」もあった。
*
『RERA』は手に取るとすらすら読め、
どの歌もそこそこ気になる感じだが、
いざ、
いい歌を拾って紹介しようとすると、
どれを引用していいのかわからなくなる、
そういう歌集だった。
同工異曲も多く、
そのへんはあえてかもしれない。
同じ気分を繰り返し繰り返し歌っている。
一冊を通して読んで印象に残るのは、
だから、
歌集全体のトーンから少し外れた、こんな歌。
る。みんな夜中の十二月にいて無音の雪の音がきこえる (松木秀)
ひょっとしてこの俺様は死んだのかやたらと箸が長いんだけど (松木秀)
ゆるやかな坂道をふとのぼり終えふり向いたならそれが夢です (松木秀)
全体的につまらなくはないのに、
どうにも感想を書きにくい歌集なのだった。
枡野浩一の歌の「本歌どり」もある。
つり革の輪がデカければ首つりの綱になるのに夕焼け小焼け (枡野浩一)
吊り革で首が吊れると気がついてつぎつぎ肩をのぼる赤ちゃん (松木秀)
んー。元歌を踏まえて、より面白くなってるかなあ……。
赤ちゃんの頭って普通、つり革の輪よりデカいよ?
この「本歌どり」の存在は私にも知らされていたが、
歌集に収録されるとは思ってませんでした。
*
*
*
なお、
私自身も「盗作」を疑われたことはある。
拙著『日本ゴロン』(毎日新聞社)をご参照ください。
最近も、
こんなことを言われた。
http://tenblo.seesaa.net/article/129070227.html
塩酸をうすめたものが希塩酸ならば希望はうすめた望み (枡野浩一)
でも、
枡野浩一のこの一首は1991年発行の
手作り歌集『音信不通』にも収録済み。
その歌集は歌人の藤原龍一郎さん他が
保存しているそうです。
(実際に詠んだのはもっともっと前です。
中学か高校の頃にもう、
同じことを思いついて友達には話していた)
もっと遡れば落語のネタにも
似たようなのがあるそうだけど、
知りませんでした。
今ならネット検索で調べられるから、
発表する前に前例を知っていたら没にしたかもね。
この程度のネタは、同時多発的に同案がうまれる。
よくできた言葉のもじりほど、似てしまう。
私がこの歌を詠んだ頃は、
こういう題材をこういう料理の仕方で
短歌にすること自体が珍しかったはず。
もちろん前例は色々あった。
ただ、
こういう歌ばっかりを徹底して詠んでたのは
枡野浩一くらいだったと思います。
その徹底度に「オリジナリティ」があったのです。
あるフォーマットを提案した、というか。
今は似たことをする人が増えてしまったけどね。